ゼミの優れた学生たち

 画像昨夜のゼミナールは、早稲田大学で25年教えていて、5本の指を数えて思い出す高品質の報告2本だった。この水準に立てるということは、早稲田大学はまだ捨てたものではないということがわかる、日本の将来もけっして縮小再生産ではないこともわかる。もうちょっと早稲田で教えていようと思った。 愚かなのは、政治家、政党、大学経営者、本部役職者わたり教員たちだけだということである。

 ハイエクの『純粋資本論』は、経済理論の中でも超難書のひとつである。いわゆる公務員試験なぞの「経済学」の教科書にはまったく出てこない。先週のヒックス『価値と資本』第3部についても高品質の報告だったが、このヒックス『価値と資本』は、今も課題指定図書になることが少なくない。それに対して、ハイエクは、この『純粋資本論』以降、経済学とは訣別することもあり、経済学プロパーでは傍流となっていった。しかしながら、これらには、人が生き、社会が生きるとはどいうことかを教えてくれる深い思想がある。

 先週扱ったヒックスにあるが、オイゲン・フォン・ベーム=バヴェルクから始まるオーストリア資本理論のアイデアは、資本とは何かということをはっきり教えてくれる。いわゆる「コストカッター」が経営手腕の方法だと勘違いされるようになったのは、日本では1990年代半ば以降で、今もそういう賃金カット、経費削減で企業を、ほんの一時的に、すなわち自分の任期中だけ回復させてみせる人が、有能な経営者のように思われがちだが、そこには根本的に資本ということがわかっていないことが、よくわかる。若い人が、これから仕事をして生きていくということを思うと、このオーストリア学派の資本論、とりわけ部分均衡の合成は正解ではない。予見不能な未来時点での一般均衡解をめざさねばならないが、その時点では自らも変化しているはずだ、という時間論は、よく知っておく必要がある。

 日本の社会は政治も経済も、すべて当座の均衡、すなわち帳尻だけに目を向けて、それをクリアできればそれでよいと思って生きているが、これが今の終わりのない不安の連続の原因であり結果である。多くの政治家は愚かであり、経済学者はテレビに出ることだけで、見た目の結果を言うことに汲々としている。ヒックスは、1972年、ハイエクは1974年、ノーベル経済学賞受賞者。ハイエクが、ヒックスに影響を与えた時期もあり、後輩のほうが早く受賞という皮肉もあるが、彼らに共通していることは、終生、政府の諮問機関の御用学者にはならずアカデミズムを徹底したところがあり、これには、学問の論理性のみならず、人生の論理性も明確にしていた人だということに感服させられる。

 さて、冬のヨーロッパは厳寒。添付写真、例えばウィーン大学中庭は、オーストリア学派の創始者である、カール・メンガー、オイゲン・フォン・ベーム=バヴェルク、フリードリッヒ・フォン・ヴィーザーの3教授の胸像が飾られた回廊がある。ドップラー、フロイト、フォン・シュタインら、ここで教鞭を執った人たちも並んでおり、大学とはこういうところだということを重みと厚みとともに教えてくれる。命日には、誰が置いたかわからぬように花輪がたむけられているのを目にすることができる。

 同じ建物入り口を入ると、この大学からノーベル賞を受賞した11人の写真が飾られている。ハイエクは、ご本人は若いときロンドン大学に招聘され、そののちシカゴ、フライブルクで教鞭をとるが、終生ウィーンで教えたかったことが知られている。それゆえか、ウィーンでは教鞭をとっていないが、彼の写真も入れられてある。学生諸君は、冬休み、春休み、旅に出て冒険する必要がある。そのためには、今は、時間の無駄な、つまらぬ授業は絞ってアルバイトでもして資金を作ったほうがよい。時は金なりである。

 なお冬は厳寒だが、5月から6月のヨーロッパはたいへん素晴らしい。添付3枚目の写真は、ウィーン郊外、Neustift am Wardeにある、ハイエクの墓。フライブルクで亡くなるが、ウィーンに埋葬されている。このあたりは、一面ぶどう畑が続き、ホイリゲというできたてのワインにったばかりのものを飲ませてくれる農家、居酒屋が並んでおり、つきあわせのソーセージ、ハム、肉、チーズ、野菜などとともに、さらに音楽を聞きながら楽しむことができる。5月連休は、航空運賃、ホテルとも非常に高くなるから、5月連休アルバイトをして稼いで、ゆっくり休んだ後、その後さらに少し長めに学校をさぼって楽しんでくるのがよい。そういう余裕が、人生を豊かにして、論理明晰な学問と生き方を教えてくれる。当座、目先の帳尻合わせだけで生きていると、人生は短く、そしてさみしいものとなる。1セメスター15回、その3分の2以上出席なんて笑い飛ばせ!




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