「見えぬ稼ぎ頭」?

画像 中学2年生のとき、父親にねだってカセット・テープレコーダーを買ってもらった。1968年だったと思う。FMから音楽を録音し、当時はレコードから今でいうダビングをし、そしてコンサートに、映画館に持ち込んで音楽やセリフを録音した。ある時、そのレコーダーの蓋が巧く開かなくなった。父親もメーカーのサラリーマンだったから、その会社に手紙を書いてみればと言われ、たどたどしく手紙を書いたら、中学生の私に丁寧にその会社の課長さんから手紙が帰ってきて修理をしてもらうことになった。
 その時の感動はたいへんなものだった。それ以来、テープレコーダー、ステレオ、テレビ、ビデオ、カメラ、何でもこの企業の商品でそろえてきた。つい最近まで。
 大学時代の親友が、この会社に就職しその海外の拠点の駐在員で赴任した。8年にも及ぶ長いもの。それも感動的であった。帰国する度に学生時代からの馴染みの呑み屋で学生時代を思い出し、仕事の話をしていた。One gun three beamがこの企業のひとつの柱だった。あるとき、three gunsともう大差がなくなってしまったという話を聞いた。同じ頃『NOと言える日本』という本がベストセラーとなり、この企業の創業者のひとりが書いていた。当時、この企業、某国の映画会社を買収。当時の某国経済は最悪状態。「国の心を金で買う日本企業」と激しいバッシング。その創業者、この本に日本企業は、物作り、従業員本意の経営と書いて弁明していた。まさにそのとおりだと大いに納得した。
 今住んでいるところに移って、東京へ行くとき横浜横須賀道路から保土ヶ谷バイパスに入っていくのだが、そこにはつい最近までこの企業の有名な中央研究所があった。私の個人的な思いだが、その横を車で通る度に、これが戦後日本の技術と知恵、頭脳の象徴だと思って見ていた。これが日本を支えているのだと・・・。なくなってしまった時には、何とも寂しいものを感じた。
 数日前のある経済新聞の株式欄に「見えぬ稼ぎ頭」という記事。民生電機3社の部門別営業損益のグラフが載っていた。どこもデジタル家電は赤字となっているが、白物家電でなんとか支えている模様。ただ、私に度々感動をくれた企業は、「金融」「音楽」「映画」が稼ぎ頭となっている。これにはある種狼狽してしまった。上の宣戦布告のような勇ましい書には、当時の某国が企業買収の会社経営を軸にし、完全に金融経済になってしまっていることへの批判が書かれていた。物づくりこそ国と人を支えると書いてあった。そのとおりだと思った。
 私が遅れているのか、どこかが間違っているのか、きっとこの結論は、そう遠くない間に見えてくるだろうと思う。企業は、そこで働く人、そこで作る商品、それが命のはずだ。

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